住宅の省エネ計算 簡易計算の結果比較

今回は、前項で紹介しました簡易計算ルートに関して、それぞれの計算結果を比較してみます。

・外皮面積を用いない方法
・モデル住宅法
・標準計算
以上の計算方法で同一物件の評価を行い、その結果を比較します。

なお、計算住宅は
「住宅省エネルギー技術講習テキスト」(一般社団法人 木を活かす建築推進協議会)P.90
に記載の、モデルプラン住宅に沿って進めます。

【 モデルプランの基本仕様】
天井:グラスウール断熱材16K t=155mm
外壁:グラスウール断熱材16K t=90mm
床 :押出法ポリスチレンフォーム断熱材3種bA t=65mm
建具:金属製枠、複層ガラス(中間空気層6mm)


【計算結果】
計算例に沿って進めた結果、以下の通りの結果となりました。

外皮平均熱貫流率
UA(W/㎡・K)
一次エネルギー
消費量
(BEI)
標準計算 0.82 0.80
外皮面積を用いない方法 0.93 0.86
 モデル住宅法  0.95 100(基準値100) 

結果は、標準計算に比べ簡易的な分、不利側の数値となりました。
標準計算では省エネ基準をクリアしていたものの、
簡易な計算ルートはいずれも外皮性能がクリアしませんでした。


ここで、建具のガラス仕様をLow-Eガラスとし、
検証してみます。

外皮平均熱貫流率
UA(W/㎡・K)
一次エネルギー
消費量
(BEI)
標準計算 0.73 0.80
外皮面積を用いない方法 0.82 0.85
 モデル住宅法  0.85 97(基準値100) 

※建具仕様を、金属製枠、Low-E日射遮蔽型、中間空気層6mm に変更

結果、いずれの計算方法でも外皮性能をクリアさせることが出来ました。


【考察】
昨今、補助金などの申請で、戸建ての住宅性能評価を受けられる物件が増えております。
標準計算に比べ簡易的に結果を求められる簡易計算ルートですが、
検証の通りどうしても不利な数値となります。
また、外皮・建具の仕様が複数種類ある場合は、不利側の数値を採用するなど、注意点もあります。
断熱材の性能だけでなく、建具や設備まで含めて全体的に性能を高めていくことが、
高性能な省エネ住宅への近道となりそうです。