戸建て住宅の標準計算、簡易計算とは?

省エネルギー基準の評価は「外皮性能」「一次エネルギー消費性能」の2つについて行います。
「外皮性能」の評価方法には、戸建住宅・共同住宅ともに「標準計算ルート」「簡易計算ルート」「仕様ルート」の3つのルートがあります。
さらに、戸建住宅の「簡易計算ルート」には【外皮面積を計算しない方法】と【モデル住宅法】の2つの方法があります。

弊社では「標準計算」と「簡易計算(外皮面積を計算しない方法)」を使い分けて評価しています。
「簡易計算」で目標値をクリアできそうであれば優先して「簡易計算」を行います。(計算料金も安くなります)
■「標準計算」を用いるケース
・断熱性能が悪い場合(一部に無断熱の外皮がある、単板ガラスの窓がある等)
・省エネ基準以上の良い結果を求められている場合
■「簡易計算(外皮面積を計算しない方法)」を用いるケース
・断熱性能が良い場合(Low-E窓がある等)


【評価方法による適用可能な制度

制  度 戸建住宅の評価方法
標準
計算
ルート
簡易計算ルート 仕様
ルート
外皮面積を
計算しない方法
モデル
住宅法
住戸評価
外皮性能
建築物省エネ法 規制措置  適合義務制度  △  △
 届出義務制度  ○  ○  ○  ○
 説明義務制度  ○  ○  ○  ○
 住宅トップランナー制度  ○  ○
誘導措置  性能向上計画認定制度  ○  ○
 省エネ性能に係る表示制度  ○  ○  ○
エコまち法  低炭素建築物(住宅)認定制度  ○  ○
品確法  住宅性能表示制度  ○  ○ 4
一次エネルギー消費性能 建築物省エネ法 規制措置  適合義務制度  △
 届出義務制度  ○  ○
 説明義務制度  ○  ○
住宅トップランナー制度
誘導措置 性能向上計画認定制度
省エネ性能に係る表示制度  ○  ○
エコまち法  低炭素建築物(住宅)認定制度
品確法 住宅性能表示制度  ○4
一次エネルギー消費性能の評価ツール Webプログラム 簡易計算
シート
  • ※モデル住宅法では等級を取得できないため、長期優良住宅認定制度には使用できません。
  • ○は評価可能、○4は等級4のみ評価可能、△は複合建築物の場合に評価可能を示します。
  • ― は評価不可です。

 

 

 


【各評価方法の特徴 

評価方法
標準計算ルート 簡易計算ルート  モデル住宅法 仕様ルート
特徴 パソコン等で行う
精緻な評価方法
パソコン等で行う
簡易な評価方法
 手計算で行う
簡易な評価方法
断熱材等の
仕様で判断する

評価方法
外皮性能 計算ツール 外皮計算用Excel等 外皮計算用Excel等   簡易計算シート
部位毎の
面積・長さ
 計算する  計算しない
(固定値を使用)
 計算しない
(固定値を使用)
 計算しない
(計算する方法も有)
部位毎の
外皮性能
 各部材の熱伝導率等より
部位の外皮性能を計算
   各部材の熱伝導率等より
部位の外皮性能を計算
 カタログ等より
部位の外皮性能を転記
 仕様基準への
適合確認
一次エネ性能 計算ツール   WEBプログラム(住宅版)   簡易計算シート ― 
部位毎の
面積・長さ
詳細入力画面
(設置する各設備の
性能・仕様を入力) 
OR 簡易入力画面
(設備設置の有無と
設備の種類を入力) 
 設置する設備を選択  仕様基準への
適合確認 
部位毎の
外皮性能
  設備の性能・仕様を入力可能   考慮できない ― 

 

 


【標準計算ルート
評価対象住宅の部位ごとに計算した外皮面積や長さ、性能値、係数等を用いて外皮性能を求める方法です。
「簡易計算ルート」に比べ、正確な外皮性能を算出することができます。

インプット
アウトプット
部位名 面積・長さ × 性能値 × 係数 外皮平均熱貫流率(UA)
冷房期の平均日射取得率(ηAC)
暖房期の平均日射取得率(ηAH)

屋根・天井  入力 ×   入力 × 入力
外壁・基礎壁  入力 ×   入力 × 入力
開口部  入力 ×   入力 × 入力
 入力 ×   入力 × 入力
基礎  入力 ×   入力 × 入力

 

 


【簡易計算ルート「外皮面積を計算しない方法」】
外皮面積を計算せずに、各部位(屋根、天井、外壁、基礎壁、開口部、床、基礎等)の性能値だけを用いて、外皮性能を求める方法です。

インプット
アウトプット
部位名 面積・長さ × 性能値 × 係数 外皮平均熱貫流率(UA)
冷房期の平均日射取得率(ηAC)
暖房期の平均日射取得率(ηAH)

屋根・天井  ―  ×   入力 ×  ― 
外壁・基礎壁  ―  ×   入力 ×  ― 
開口部  ―  ×   入力 ×  ― 
 ―  ×   入力 ×  ― 
基礎  ―  ×   入力 ×  ― 
 ※ ”―” は入力無し

 

 


【簡易計算ルート「モデル住宅法」】
外皮性能は【外皮面積を計算しない方法】と同様に、外皮面積を計算せずに性能値だけを用いて外皮性能を求めるルートです。
一次エネルギー消費性能は、仕様に基づくポイントを計
算して基準の適否を判断します。
他の計算ルートに比べて簡易に計算で
きますが、安全側の評価結果に(性能が低く)なるため、適合するためには、より高性能な仕様が求められます。