長期優良住宅法改正のお知らせ

「長期優良住宅法」改正に伴い、令和4年10月1日に、新たに創設された災害配慮基準等の新基準、共同住宅における認定促進や脱炭素社会に向けた「省エネ対策の強化に係る認定基準の見直し」が実施され、新たな基準や制度が施行されました。


1.建築行為を伴わない既存住宅の認定制度の創設
(改正前)
現行の認定制度は建築行為を前提とし、建築計画と維持保全計画をセットで認定する仕組みであるため、既存住宅については、一定の性能を有するものであっても、増改築行為を行わない限り認定を取得することができないこととします
(改正後)
優良な既存住宅について、増改築行為がなくとも認定(維持保全計画のみで認定)できる仕組みを創設します

 

■建築行為なし認定制度の認定基準(規模の基準を除く)

 新築又は増改築※の時期 適用する基準
長期使用構造等基準 居住環境基準
災害配慮基準
維持保全基準
①平成21年6月4日以降に新築した後
増改築していない場合
 新築時点における新築基準 認定申請時点
における基準

 
 
②平成28年4月1日以降に増改築した場合 増改築時点における増改築基準
③平成21年6月3日以降に新築し、又は
平成28年3月31日以前に増改築した場合
(②の場合を除く)
 H28.4.1時点の増改築基準

 ※ 長期使用構造等の基準に適合させるための増改築を指す。

 

■建築行為なし認定制度の認定基準規模の基準(床面積の合計)

【一戸建て住宅の場合】
床面積の合計が75㎡以上
(地域の実情を勘案して所管行政庁が55㎡を下回らない範囲内で別に定める場合には、その面積以上)

【共同住宅等の場合】
以下の表のとおりとします

 新築又は増改築※の時期 適用する基準(床面積の合計)
①令和4年9月30日までに新築又は増築したもの
(令和4年10月1日以降に増改築したものを除く)
55㎡以上
(地域の実情を勘案して所管行政庁が40㎡を下回らない範囲内で別に定める場合には、その面積以上)
②令和4年10月1日以降に新築又は増改築したもの 40㎡以上
(地域の実情を勘案して所管行政庁が40㎡を下回らない範囲内で別に定める場合には、その面積以上)

長期使用構造等とするための増改築を指す。

 

■建築行為なし認定制度の認定基準規模の基準(床面積の合計)

 

■認定手続きについて
建築行為なし認定制度は、増改築時の認定と同様に、現況検査と長期使用構造等であることの確認等を行い認定を行います。申請書類等についても、基本的に増改築の認定と同様の書類による審査を行います。
建築行為なし認定制度の認定基準は新築又は増築・改築の時期により決まるため、施行規則第2条第1項に規定される工事履歴書(新築又は増築・改築の時期等が分かる書類)を別途求めることとします。

 

■建築行為なし認定に係る支援制度

新築 増改築  既存



●地域型住宅グリーン化事業
●市街地再開開発事業等
●こどもみらい住宅支援事業

●長期優良住宅化
リフォーム推進事業




●所得税
●登録免許税
●不動産所得税
●固定資産税
●所得税
●固定資産税
●所得税

●【フラット35】S(金利Aプラン)
    及び維持保全型
●金利引継特約付き【フラット35】
●【フラット50】
●【フラット35】S(金利Aプラン)
    及び維持保全型
●金利引継特約付き【フラット35】
●【フラット35
】リノベ(金利Aプラン)
●【フラット50】
●【フラット35】S(金利Aプラン)
    及び維持保全型
●金利引継特約付き
【フラット35】
●【フラット50】

 


2.省エネルギー対策の強化について
(現行基準)
現行、断熱性能等級4を求めており、一次エネルギー消費量性能については求めていない。

断熱等性能 一次エネルギー消費量性能
住宅性能表示の等級4 無し


(改正後基準)
省エネの基準をZEH相当の水準とし、住宅性能表示制度の断熱等性能等級5及び一次エネルギー消費量等級6とします。

断熱等性能 一次エネルギー消費量性能
住宅性能表示の等級5 住宅性能表示の等級6

 

共同住宅の省エネルギー性能の評価方法について
共同住宅の一次エネ消費量性能の評価方法について、従来の「住戸ごとの評価方法」に加えて、新たに「住棟全体で評価する方法」を導入します。
「住棟全体で評価する方法」において、申請対象外の住戸も評価対象とし、非住宅部分は評価対象外とします。

外皮基準 一次エネルギー消費基準
現行 〇単位住戸 〇単位住戸 
改正後 〇単位住戸
〇単位住戸
〇住棟評価(単位住戸の合計)
〇住棟評価(単位住戸の合計+共用部)

 


3.長期優良住宅に係る壁量基準の見直し
長期優良住宅の壁量基準については、現行の住宅性能表示制度の耐震等級3※とします。
ただし、太陽光発電
等を載せた場合は、仕様に関わらず重い屋根の壁量基準を満たすものとします。
※住宅性能表示制度における構造計算による場合は、引き続き、実荷重を踏まえた上で耐震等級2以上の基準へ適合すれば認定基準を満たすこととします

 


4.共同住宅等に係る基準の合理化等
■維持管理・更新の容易性
区分所有住宅以外の共同住宅等であって、賃貸借契約書等に基づき修繕や維持管理の際に住戸内に立ち入ることが可能な場合は、以下の基準を適用しないこととします。
・専用配管が他住戸専用部に設置されていないこと
・専用部分に立ち入らずに横主管(共用排水管を含む)に到達できる経路を設けること

 

■可変性
躯体天井高が2,650mm以上であることとします
ただし、認定対象住戸が区分所有住宅以外の共同住宅等である場合は、専用配管の設置が可能な床下空間その他の当該認定対象住戸の可変性の確保に有効な空間の高さを含みます。

 

 

 

 

■耐震性に係る基準の合理化(RCマンション)
・保有水平耐力計算の結果を用いて応答層間変形角を確認する、新たな計算方法を位置づけます。
・耐震性の基準に以下の基準を追加します。

RC又はSRC造で、保有水平耐力計算により耐震等級1が確認されたものであり、かつ、けた行及び張り間方向が、それぞれ以下のいずれかに該当すること
構造特性係数Ds=0.3であって、応答層間変形角1/75以下が確認されたものであること
構造特性係数Ds=0.55であること

 

■共同住宅等に係る規模の合理化
(現行基準)

床面積の合計 所管行政庁が別に定めることが可能な
床面積の合計の下限
共同住宅等※
55㎡以上
(2人世帯の都市居住型誘導居住面積水準)
40㎡
(1人世帯の都市居住型誘導居住面積水準)

長期使用構造等の基準に適合させるための増改築を指す。


(改正後基準)
共同住宅等の規模の基準について、単身世帯の都市居住型誘導居住面積水準(40㎡)を標準の基準とし、所管行政庁が、地域の実情に応じて強化可能とします。

床面積の合計
共同住宅等
40㎡以上
(1人世帯の都市居住型誘導居住面積水準)

 ※ 所管行政庁が地域の実績に応じて強化可能。

 

■劣化対策基準における仕上塗材の評価方法
耐久性が確保され、二酸化炭素透過度試験により、二酸化炭素透過度が一定値以下であることが確認された材を、適切な施工のもと使用する場合は、かぶり厚さを1㎝減ずることができることとします。

 

■維持管理・更新の容易性基準(切断・はつり工事)
樹脂管等の切断が容易な管種を用いる場合は、切断工事を軽減する措置とみなします
・ジャッキアップ等による抜管工法が可能な継手形状である場合は、はつり工事を軽減する措置とみなします

 


4.施工スケジュール
■施工日前後の長期使用構造等基準の適用について
・施行日より前に、長期使用構造等確認を申請済みの場合は、旧基準(現行基準)を適用します。
・ただし、旧基準(現行基準)による認定は、所管行政庁への認定申請が令和5年3月31日までのものに限ります。

●登録住宅性能評価機関へ長期使用構造等基準の確認申請を行う場合

登録住宅性能評価機関への申請日 ~R4.9.30 R4.10.1~
所管行政庁への申請日 ~R4.9.30
R4.10.1~
R5.3.31
R5.4.1~ R4.10.1~
認定日 ~R4.9.30 R4.10.1~ R4.10.1~ R4.10.1~ R4.10.1~
規模の基準 旧基準 新基準 新基準 新基準 新基準
長期使用構造等基準 旧基準 旧基準 旧基準 新基準 新基準

●所管行政庁に長期使用構造等であることの審査も含め、直接認定申請を行う場合

登録住宅性能評価機関への申請日 ~R4.9.30
R4.10.1~
認定日 ~R4.9.30 R4.10.1~ R4.10.1~
規模の基準 旧基準 新基準 新基準
長期使用構造等基準 旧基準 旧基準 新基準

 

■施工日前後の規模の基準の適用について
・申請の時期にかかわらず、令和4年10月1日以降に所管行政庁の認定を受ける場合は、新基準を適用します。